(2014 Facebook記事を修正)
古河の歴史を歩く
古河歴史シンポジウム実行委員会(編)
高志書院(2012/11/15) 1,900円(税抜)
本書は平成22年11月、古河で開催された歴史シンポジウムの講演内容をまとめたもの。当時、これだけ立派な講演者が古河に集まることに驚いた記憶があります。
中世史を専門とする市村高男先生は、古河公方時代および平安時代の古河について、古河地域から見た日本史という視点から解説。特に古河公方時代は「古河地域が最も輝いた時代」とし、当時の古河地域を描写する「古河府」という表現を提唱。この用語が登場したことで、鎌倉府・鎌倉公方に古河府・古河公方がセットで対応し、鎌倉と古河の中世史が比較しやすくなりました。また最近、中世古河を「東都」と呼ぶことがありますが、その背景についても解説されています。
阿部能久先生は古河公方・足利成氏が残した文書群を分析し、成氏の人物像を探ります。平井良直先生は古河公方ゆかりの美術工芸品を解説。中村良夫先生は古河公方を生んだ古河の「地相」に着目し、まちづくりにも地相が重要であることを強調しています。
古河公方以外の話題も豊富。平安時代の製鉄遺跡・川戸台遺跡、平将門、鎌倉時代の下河辺荘、古河周辺の河川流路変遷などが取り上げられており、特に川戸台遺跡については、現在入手が容易な資料として、おそらく唯一のものでしょう。
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