大欅と小蓋宮(2016 Facebook記事を修正)

 古河駅から北東に300mほど離れたところ(東三丁目)に、小蓋宮(こぶたのみや)と御神木の大欅(おおけやき)があります。

 ここは簡易裁判所の隣で、住宅街の一角です。近くに来ると、まず目につくのは大きな欅の木。 欅は「古河市の木」に指定されており、ここの欅も市指定文化財(天然記念物)で、まちを代表する名木のひとつ。境内に2本あった欅のうち、南側の一本は、昭和53年に枯れて伐採されたそうですが、平成2年、その跡に新しい欅の苗木が植えられました。

 大欅の足元には、小蓋宮の小さな祠が南面しています。創建年代は不明ですが、大欅の樹齢が600年と推定されており、目安になるかも。江戸時代に書かれた『古河志』にも「鍛冶町 町末畑中小祠 小蓋宮」として紹介。昔からこの付近では畑作の害になる雹(ひょう)除祈祷が行われ、これを「畑に蓋をする」と言ったそうです。そこで、この祠は雹害から畑を護る「小蓋宮」と呼ばれました。

 ここの祭神はお稲荷様で、五穀以下、全ての食物の神様です。その意味でも、昔からこの地域の畑作を護ってきた小祠でした。現代では、周囲は住宅街に変わりましたが、雹は相変わらず困りもの。今でもこの地域を守り続けているのでしょう。

参考文献
 『古河市史 民俗編』古河市(昭和58年)
 『古河市史 資料 別巻』「古河志」古河市(昭和48年)
 『古河市の文化財』古河市(平成5年)
 鎗水柏翠『古河通史下巻』「古河地方誌探訪」柏翠会(平成4年)

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